高校時代、昼前の授業をサボって自転車で松屋へ行き、カレーライスを食べて帰ってくる男子グループがあった。ガッツリ目の不良ではないけれど、どちらかというとそっち系の人たち。彼らはいつしか「俺たちカレー部だから」と言い始め、割と熱心に部活動(つまり授業をサボって松屋でカレー)に励んでいた。あまり交流のない面々だったけど、部長のT君だけは、音楽仲間だったこともあって日頃から仲が良く、顔を合わせれば話が弾む間柄だった。
ある日、部長のT君に「カレー部のみんなと同じ活動はできないけれど、カレーライスは大好きで、3食カレーでも全然大丈夫。そういえば、きのうもおとといもカレーを食べた」みたいな話を伝えたところ「OK、じゃあ澤井君もカレー部の一員ってことで」と。思いがけず、カレー部員になることができてからは、カレーライスを食べる機会がさらに増えたし、食べるときは「部活動の一環である」と意識するようになった。
大人になり、カレー好きな人と会話するときは「高校時代、カレー部でした」と告げることにしている。「なんですかそれ?」と話のきっかけになるのでとても助かっている。解説後に「最高な部活ですね」と言ってもらえるのもうれしい。
カレー部の部長・T君は、高校卒業後の地元で有名なスパイスカレーのお店でアルバイトしてお金を貯め、最終的にインドを放浪したと聞いたが、いまどうしているのやら。